9月14日に発売となったダンジョン飯の8巻。チェンジリングでドワーフなど違う種族になってしまったライオス達と、迷宮にやってきたエルフ達について描かれていました。今回はとにかく茸回!ってくらい、茸でいっぱいでした。8巻の表紙のメインはカブルーと茸。
茸のおかげで大変カラフルなのですが、楽しそうにしているのがライオスとセンシだけというなかなかのカオスっぷり。好きです。後ろはこんな感じ。
バイコーンと大歩く茸ですね。帯に隠れて見えないですが、その下にチェンジリングの茸も描かれています。
8巻は第50話~第56話までが収録されています。前回のラストで張られていたチェンジリングの伏線から物語がスタート。ここからはネタバレも含まれていますので、未読の方はご注意を。
Contents
ライオスがドワーフになったり、マルシルがハーフフットになったり
7巻のラストの不穏さからどうなるのか気になっていたのですが、やはりその予感は的中し。高熱でうなされた一同は、目が覚めると違う種族になってしまっていました。
ライオスはドワーフに、センシはエルフに、マルシルはハーフフットに、チルチャックはトールマンに。ちょうどパーティメンバーの種族が入れ替わった感じになったんですね。イヅツミだけはコボルトでしたが。エルフになったセンシが特に違和感がすごくて。以前の巻のおまけで描かれていたマルシルの夢の中の『ダルチアンの一族』みたいな絵柄になっていました。(ちなみにダルチアンの一族はマルシルお気に入りの小説らしいですよ!)
とりあえずそのまま進む事にしたのですが……良い面はあれど、やはり色々と不具合が出てくるもので。ライオスは戦えるものの疲れやすく、マルシルは魔法一発で魔力酔い、チルチャックは感覚が鈍く耳が遠く、センシは重い物が持てず、イヅツミは狂戦士っぽくなってしまい。こういう形でそれぞれの種族の弱点のようなものが描かれるのは面白いなと思いました。全部が全部そうではないと思いますが、一般的にはこんな感じなんだろうなと。
そんな状態でのガーゴイル二体との戦闘。やはりなかなか倒せませんが、偶然ケンスケがマルシルとチルチャックの繋いだ腕の中を通ったら形が変化。二人は自分達にチェンジリングの胞子がついている事を知ります。それを利用してガーゴイルを変化させ勝利しますが……やはりマルシルか!とちょっと笑いました。
さてそんなライオス達ですが、結局、元の姿に戻る方法を考える事になりました。どうやら身体についているチェンジリングの胞子を洗い流せば元に戻りそう――という事で、入浴して胞子を落とす一同。何とか元に戻りました。良かった。ただライオス、姿が変わったケンスケだけはこっそりそのままにしようとしたのがバレて皆から怒られていましたが。ぶれないな……!
ライオスとファリンの昔話とベーコンエッグ
相変わらずダンジョン飯で描かれる食事の美味しそうなこと。扉絵です。自動トロッコ(列車みたいな)に乗って移動中、センシがライオスに、どうしてファリンと一緒に冒険者になったのかと聞きます。ライオスとファリンの子供時代は以前の巻で少し描かれていましたが、あまり周囲と上手く行っていなかった様子で。ライオスは村に嫌気がさして町の学校へ行き兵隊に、ファリンは魔術の才があったから一年後に村を出てマルシルと出会った学校へ。
ライオスは行った先でも周囲と馴染めず、町を通りかかった隊商に拾ってもらい、この島へと辿り着いたようです。島に入る前にファリンに会っておこうと向かったら、ファリンも一緒に行くとついてきた。この時の脱走(?)の様子が描かれたイラストが可愛くて好きです。
ファリンはずっと一人で食事をとっていた。その話を聞いて、マルシルが大粒の涙を零します。
こういう風に物語の合間に、それぞれの関係性を描いてくれるのは、だんだんとパーティの信頼関係が深くなっているんだなと伝わってきて良いなぁと思いました。出会って直ぐに深い所まで話すのって難しいですもんね。
さて、そんな話を聞いていたセンシは、今のファリンは「ベーコンエッグ」だと言います。くっついているが綺麗に剥がせそうな状態、それがキメラとなったファリン。以前自分達が食べた竜の肉は元には戻らなかった。そこでファリンの竜の部分を食べてしまえば、元に戻す事が出来るのではないか?
そこまで読んで、ここであの場面がまた別の意味で生きて来るのか!と感動しました。すごい。最初の目的である、竜を倒しファリンを助ける、という部分とも繋がりがありますね。こういう形でまた当初の目的が重なってくるのとても好き。
ライオス曰く、問題は何食分になるかとのこと(マルシルたちは「そこじゃねーだろ!」とツッコミをいれていましたが)ですが、シュローやカブルー達など知り合いに手伝って貰えば何とかなるのではないかとのこと。カブルーやシュロー達は寒気を感じていましたが。
エルフ達は手段を択ばない
一方、カブルー達はカナリア隊のエルフ達を、迷宮の地下一階へ案内します。しかしそこは以前よりもかなり人間の数が増えている。驚くカブルーにナマリが「地下一階付近でも黄金が採れるから」と説明します。
黄金が採れれば人が集まるし、人が集まれば商売が捗る。そんな感じで増えて行ったそうです。この辺り、実際に現実でも起こる事だなぁとしみじみ。ちなみに迷宮を五段階に分けた場合、今の状態は四段階目らしい。五段階になると迷宮から魔物が溢れて来るそうで……迷宮って結構怖い所なのでは……!? と思いました。
カブルーはミスルン隊長とシスヒスの二人を連れて知り合いのところへ。迷宮から人を外へ出す協力をして貰えないかと頼んだところ、残念ながら彼は迷宮に呑まれてしまっていました。命の危険に晒された時、ミスルン隊長があっさり彼らを倒してしまいます。彼(?)はどうやら相手の身体と、周囲の物を入れ替える魔法が使えるそうで。壁などと体を入れ替えて無力化して戦います。ここでちょっと面白かったのはエルフのシスヒスがそれを見てぎょっとした様子であったこと。
さて、そうして倒してしまうと、ミスルン隊長のところにパッタドルから連絡が入ります。何か準備が終わったとのことですが……カブルー達が戻ってみると皆が逃げ惑っている。何でも歩き茸が大量に出現したようです。
数は多いですがまぁ歩き茸。ナマリやカブルーはさくさく倒して行きますが、どうやらこれもエルフ達の仕業らしいです。迷宮って集まった『欲』によって変化するらしいのですが、その『欲』を増やす事で迷宮の状態を悪化させ、強制的に人を外へ出すという作戦であったらしい。
確かに魔物が溢れていれば、ここにいるわけにもいかないとは思うのですが、でもこれ五段階ですよね……?大丈夫……?
狂乱の魔術師とエルフとカブルー
歩き茸を何とかしていると、大歩き茸が現れました。ナマリとカブルーが叫ぶくらいとても大きい!一匹目はミスルン隊長がさくっと倒してしまいますが、後から後から増えてきます。そしてその一匹がミスルン隊長を狙って攻撃。これは茸の知性ではない、誰か操っているものがいると、ミスルン隊長はカブルーに「探せ」と指示を出します。
そこでカブルーが見つけたのは狂乱の魔術師!
これね、すごい。カブルーは人の考えや表情を読むのが得意というような事を、ライオス達に出会った頃に描かれていましたが、びしっと見つけるのが正に主人公と言いますか。あ、いえ、主人公はライオスなんですけども。私の中でダンジョン飯という物語の主人公はライオスで、この世界内での主人公はカブルーというイメージがあるんですよ。そんな感じ。
狂乱の魔術師シスルを見つけたミスルン隊長は、圧倒的な強さで追い詰めて行きます。しかしどうにも会話力というか、説得には向かないらしく、ズバズバと物を言う態度はカブルーが(説得を代わりたい)と思う程。確かに普通に説得するならカブルーの方が良さそうだなぁ……なんて思っていたら、案の定、シスルの精神が悲鳴を上げ、そこへキメラとなったファリンが彼を助けに来ました。
そう言えばナマリはこの姿になったファリン見るの始めてだったな。驚いて叫びかけたのを、シュローに口を塞がれていました。しかしパッタドルには見られてしまい……。それにしてもこのパッタドル、髪型やリアクションがどうもマルシルに良く似ているんですよね。マルシルのお母さんなのかな?
さて、そんな状態。完全にエルフが勝つだろうと誰が見ても分かるのですが、カブルーは「いいのかこれで!?」と悩みます。故郷の事も、迷宮の事も、黒魔術の事も、エルフ達が何も話さず自分達だけですべてかっさらっていく。迷宮は自分達で攻略するのだと、ミスルン隊長を羽交い絞めにします。
そこで息も絶え絶えなシスルが魔術で大穴を開け、ミスルン隊長とカブルーを含めて落下。カブルーは心の中で「後は頼んだぞライオス」とライオスに託し、落ちて行きました。
そんなライオス達はまたチェンジリングで姿が変わっていました。マルシルのオーガ姿とセンシのハーフフット姿が強烈。マルシルがチェンジリングに対しての薬を作ったり、わいわい賑やかに食事をしていました。ライオス達はもう、ほんとそういう所だぞ……!と笑ってしまう。カブルーつらい。
チルチャックの家族の話や、おまけも充実
最後はチルチャックの家族のお話。扉絵が恋愛シュミレーションっぽくて、こういうゲームがあったらちょっとやってみたい気持ちになりました。そしてこの話、マルシルの想像力がすごいので是非読んで貰いたい。おまけのモンスターよもやま話も相変わらず面白い。この世界はちゃんと人が生活しているんだなーというのが伝わってくるのがとても好きです。
さて、面白かった8巻!今回はライオスとファリン、そしてチルチャックの内側に少しずつ踏み込んだ巻でしたね。良く分からなかったエルフの性格というか、そんな感じのものも少し分かりましたし。エルフはカブルーの言う通り、本当に周りの種族が「子供」のように見えているんだなぁ。ミスルン隊長も何となく天然っぽさを感じるので、何も問題が無い状態だったらライオス達と出会って魔物食を勧められている所が見てみたかった……!
しかし今回カブルーと一緒に落下した、ということで、ミスルン隊長とカブルーの死はかなり濃厚。万が一生きていたとしたら、それもそれで気になりますが……二人はどこまで落下するだろう。案外、ライオス達と再会する可能性もありそうですよね。マルシルが蘇生出来ますから。
しかし再会出来たら、ミスルン隊長の魔術がかなり便利なので、これを上手く使えばファリンから竜の肉の部分を剥がす事も可能なのでは?ただそうなると経緯を説明しないといけなくなる。難しい部分ですね。
さて、そんな感じの8巻でした!次が、次が気になる……!ちなみにダンジョン飯、購入するとこういう感想用のハガキ(左)が入っているのですが、イラスト入りなので勿体なくて取ってあります。一緒に入っていた右のお試し版の漫画もちょっと気になっているので、今度読んでみたいなぁと思いました。
ダンジョン飯 8巻 (ハルタコミックス) [ 九井 諒子 ] 価格:712円 |
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