ファンタジーと聞くと、まず思い浮かべるのは西洋風のファンタジー。その中でも、イギリス、イタリア、フランスを参考にされている方も多いのではないでしょうか。小説投稿サイトでも西洋風の世界観で描かれる異世界ファンタジーは少なくありません。
映画でもハリー・ポッターはイギリスを舞台にした物語ですし、指輪物語の作者もJ・R・R・トールキンもイギリスの方。有名なファンタジー作品でも、舞台や作者を見るとイギリスの名前を良く見ます。
私もファンタジーの世界観で物語を書く時、創作の資料としてイギリス等の西洋の歴史や文化などを良く調べます。その中で、役に立つ本を今回ご紹介したいと思います。
Contents
英国ティーカップの歴史~紅茶でよみとくイギリス史~
英国ティーカップの歴史~紅茶で読み解くイギリス史~(Cha Tea 紅茶教室)/ 河出書房新社
2019年8月30日発売された増補版。『英国人がこよなく愛する「紅茶」とティーカップの歴史をたどり初めての1冊!』という事で、以前から気になっていた本でした。
紅茶教室を主宰されている方が手掛けた本だそうで、ティーカップを中心として、紅茶とその貿易、紅茶に関わるイギリスの日常が細かく記載されていました。3分の2はカラーページで、美しい茶器の写真も多く載っています。
表紙も明るく華やかなティーカップがたくさん並んでいて綺麗ですよね。その後ろはこんな感じ。
こちらも綺麗ですね。真ん中に載っている橙色の花が綺麗なティーカップが特に気になったんですが、これは『ミントン』と呼ばれるメーカーのものだそう。
ミントンはトーマス・ミントンによって1793年に創業されたイギリスの陶磁器メーカーだそうです。
茶文化の始まりから綴られる、イギリス史とティーカップ
ページを開いて直ぐに見えるティータイムの風景。美味しそうで、美しい。機会があれば一度くらい体験をしてみたいなぁと思える素敵な様子。
さてこちらの本、全7章・151ページにて、たくさんの情報が詰まっています。
本の帯に書かれている所から引用しますと、
第1章:西洋喫茶の始まり
第2章:英国産陶磁器産業の誕生
第3章:ブルー&ホワイトの流行
第4章:上流階級のアフタヌーンティー
第5章:中産階級・労働者階級のティータイム
第6章:生活習慣に密着した新しいティーカップ
第7章:ティーカップと紅茶の未来
と、茶文化の始まりから、現在のティータイムの様子までをしっかりと描かれています。その中でも私が驚いたのは最初。第1章からでした。
紅茶と聞くとイギリス。そんなイメージが定着していたのですが、その始まりは中国。そこから日本へ入り、ポルトガルやオランダ等から広がっていったそうです。
意外なことにイギリスに広がったのはその後だったそう。最初からイギリスで生まれたものではないのだと知って驚きました。
ファンタジー世界では『砂糖』が高価な物と扱われるのは何故か?
紅茶に欠かせないのは砂糖やミルク。その中でも砂糖は、ファンタジー作品でも『高価なもの』や『貴重品』として扱われる事が多いです。それって何でかなぁと思った事はありませんか?
皆が「砂糖は高い」と書いているから、ファンタジー世界では高いものなんだろうという、私も調べる以前はそんないった『何となく』という漠然としたイメージを持っていました。
そんな漠然とした疑問やイメージに対する答えが、この本の中にあります。
砂糖は自国にはない=砂糖は輸入品
ひと言で輸入と言っても、この頃の輸入にかかる時間や費用は、今の何倍も掛かっています。だからこそ砂糖は高価なものだったんですよね。
そして砂糖が貴重品である時代、その取扱いも使用人に任せなかった。そのくらい貴重品だったそう。
創作に大事なのは物事の『何故』という部分
何故『砂糖』が高価なものとして扱われるのか。その答えが英国ティーカップの歴史にも書かれていましたが、創作で大事なのはその『何故』の部分なんですよね。
漠然と『ファンタジーだから』というひと言で世界観を作るよりも、物語の歴史にこういった『何故』に関わる経緯を含めて描いていけば、その世界が本当に息づいているように感じられるでしょう。
歴史だ、史実だ、その言葉だけで括ってしまうと、何だか難しく感じるかもしれませんが、身近なものや興味があるものから関連させてその歴史に触れていくと、自然に頭の中でその様子を思い浮かべる事ができる。
この『英国ティーカップの歴史』はそういう本です。
ファンタジーの創作資料としても、イギリス史の勉強する本としても、読んでみて楽しい一冊ですよ。
図説 英国ティーカップの歴史 増補新装版 紅茶でよみとくイギリス史 (ふくろうの本/世界の文化) [ Cha Tea 紅茶教室 ] 価格:2,052円 |
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